石川ひとみ インタビュー その1

じんの「どんな感じですか、今回?」
石川「前回出演させてもらった『深海で聴くリリーマルレーン』以上に戸惑いが大きいです『リリーマルレーン』の時は、じんのさんと初めてだったのでそういう戸惑いはありましたけれども、今回は、2回目だっていうのと、プラス五月の初演を見ているという二点での戸惑いが(笑)」
じんの「初演見ちゃうとやっぱり引っ張れるものなの?」
石川「たぶん、無意識に違うことをやったほうがいいのかとか、どこをなぞったほうがいいのかとか、あとあまりに、今回上演一幕が前回と違うので、そうすると、え、じゃぁ、あのシーンはどうなるんだろう? 上演2幕のこのシーンのこれはどこに落ち着こうかなぁ、とか、どこがこのキャラクターの落としどころなんだろうかとか」
じんの「作り方は同じなんだけどなあ。『リリーマルレーン』も実は二十年前の私の戯曲『俺なら職安にいるぜ』のリメイクだし、こっちのシーン作ってはあっちのシーンを作ってまた直してっていう作り方は同じだと思うんだけど」
石川「だから、深く考えないようにしようとしてます(笑)」
じんの「あ、それは大事ですね。今日、稽古して話あってみて、意外とキャラクターの縦軸がが通ってた脚本だったな、と」
石川「はい。そうですね、私だけじゃなく、みんな。なんか、久しぶりに帰ってきたら(石川ひとみは、ラスベガスに旅していた)キャラクターがみんなしっかりできあがっていたっていたっていうか。いろんなことが進んでいてびっくりしました」
じんの「でも、君ががアメリカ行ってる間って、地味な稽古しかしてなかったよ、ほんとに自己の開放的な事しかしてない」
石川「まぁそうだったんだろうと思うんですけど、自己の開放的なことをした結果、こんな子たちだったっけ? みたいな(笑)」
じんの「ああそう言ってもらえると、地道に自己の開放をやってきた甲斐があるというものですよ」
石川「最初、稽古見たときに、今の子ってこんな感じなんだ。おとなしいもんなんだって印象だったんですけどね」
じんの「たぶん自分の出し方とかがわかんないんだと思う、頭を上から押さえつけられて抑制されているのが常じゃない今って」
石川「私は、育ちが北の大地の野っ原みたいなところなんで」
じんの「それは関係あるの? (笑)」
石川「抑制されずに育ったわけですよ。走り回って遊んでいることが普通のことだったんで」
じんの「ハイジ&ペータみたいな暮らしだったの? チーズ作ったり?」
石川「あそこまで田舎ではなかったですけど。兄が二人いたので、兄と一緒にほんとに野っ原を駆け回ってサバイバルゲームしたりとか。小学生くらいの時は」
じんの「それで、なんで演劇始めちゃったの?」
石川「中学でこっちに来て、小学校の時、運動部でいじめられてたんで」
じんの「え、そうなんだ、なんでいじめられていたの?」
石川「バレーボール部で、ちょっと体が大きかったので、周りより一年遅れで始めたのに、レギュラーになって、チームリーダーみたいなものになって」
じんの「できるからいじめられたタイプだ」
石川「そうですそうです。めんどくさいなと思って」
じんの「その頃から、そういうことを、めんどくさいなと思ってしまう人だったの?」
石川「なんかめんどくさいなってなっちゃったんですよその時(笑)それで、そこで北海道脱出したんで、心機一転して文化部で今度は何かのんびりやるかなぁと思って」
じんの「演劇部は文化部なのね? 私、あんまり演劇部が文化部って感じがしないんだよなぁ。じゃあ演劇部って何? って言われたら文化部なんだけど」
石川「最初、美術部にいて、絵を描いていて、そこでたまたま自分で小説を書いたりしてる子がいて、文章書いたりするのも楽しくて、なんかいろいろやれたらいいなぁと、思って高校に入ったら、演劇部の勧誘の人が面白くて、何かワシャワシャしていて。演劇部だったら美術とかもあるし、脚本書けば、文章も書けるし体も動かせるし、楽しいかなと」
んの「そう考えると演劇部はオールマイティー、オールジャンルだからね」
石川「何でも出来るじゃん!と思って、始まったら今に至るって感じです」
じんの「大学は?」
石川「大学もだから、演劇の桜美林に行ってます」
じんの「え? じゃあ桜美林が、今回三人もいる?」
石川「他にも誰かいるんですか?」
じんの「二宮咲と植野祐美が桜美林だよ。植野はダンスなんだけど」
石川「私の時はまだ文学部だったんですけど。それで、文学座の先生の演出とか受けてて、それで文学座に行ったんです」
じんの「文学座はすんなり入れたの?」
石川「割とすんなり。文学座に入る前に二年間、シアターガイドで編集アシスタントの仕事をしていたんです」
じんの「今井さんのところ?」
石川「今井さん直属のアシスタントでした。ちょうど今井さんが松本行っちゃうタイミングで、私も文学座に行ったんです」
じんの「おお、なるほどそういうことか。あー! 今井さんに連絡してねーや。前回のこの『櫻の園』の時に今井さんにインタビューされたんだけど、今井さんがその公演日を間違えたとかで、保留になっているインタビューがあるんだよね」
その場に居た一同「えええええ!」

 

注 『深海で聴くリリーマルレーン』 ガソリーナ2015年の作品。とあるハローワークが舞台。今の日本が第二次世界大戦前のドイツ並みのインフレに襲われたら…という芝居。十億円札、百億円札が乱れ飛んだ。

『俺なら職安にいるぜ』ふざけたタイトルからは想像もつかないシリアスな『深海で聴くリリーマルレーン』の原作となった舞台。岸田戯曲賞ノミネート作品。

 アメリカに行った。石川ひとみはラスベガスに『シルクドソレイユ』を見に行っていた。