加藤るみ インタビュー 9月半ば編 その1

 

じんの「ネタバレありで全然いいです」

加藤「はい」

じんの「いよいよ稽古始まってみて。どんな感じですか? この前インタビューした時って稽古する前だったじゃない?」

加藤「演技は奥が深いなと(笑)日々感じております」

じんの「想像していたのと違った?」

加藤「稽古って、演技してみて、それで演出家の人が止めに入ることが多かったんですよ。こうでしょ? そこは違う! みたいな、あと、実際にその演出家の人が、演技をして見せてくださるというか」

じんの「実際に演出家がやってくれたりするの?」

加藤「はい。そういうのが、多かったんですけど、じんのさんは説明があるじゃないですか。その演技に対して、演技した後に、この演技をするにあたっての説明が」

じんの「どういう説明があるか、読んでる人にわかるように、話してもらえる?」

加藤「この前の、進路指導室の場面稽古の時にも、立って動くということに、そこでどう動くかって、全部理由があって、それをこういう風に、自分で考えて計算して、立たなければならないって。私がこれまで教えられた事は、自分がその場に居たと思って動け、その場にいてその人が感じることを想像して動け、って言われてきたんです。でも、自分で考えて計算をしないと、舞台上では伝わらないんじゃないか、ってどっかで思ってたんです。ただその場で感じたことを、出すだけで本当にいいのか? って。そういう演技ってどうなんだろうって。そういう自分が疑問に思っていた、なんていうんだろう、もやもやしたものの、謎が解けたというか。私の中で、ああ、そうか、計算して動いてもいいんだって言う、確信が持てました」

じんの「それと、私の稽古場はあんまり台本に頼らないでしょう?(笑)」

加藤「台本を見る時間がないです(笑)」

じんの「ないね。ないね(笑)」

加藤「見ている時間より、じんのさんの話を聞いている時間の方が圧倒的に長いです。稽古場に居てセリフ覚えなきゃ、覚えなきゃと言う感じにならないです。今、セリフをほぼほぼ読んでないんですけど、不思議と手ごたえを感じてはいます。イケそうだなって気がしてるんですけど」

じんの「書いている人が、脚本読まなくていいって、繰り返し言い続けているのもあんまないだろうからね」

加藤「本当に脚本をみんな読んでないですよね」

じんの「ほぼ、毎日脚本がどんどん書き換えられてってるしね」

加藤「ああ、そうですね。前の5月の初演の舞台も一応、映像は観させてもらっているんですけど、今回は本当に違ってきてます。本当に全然」

じんの「でも、私が2回やっているんだから2回目の方がうまくないと、っていうのはあるじゃない(笑) 1回目よりダメだったら、2回目は何でやるの?ってことになるじゃない(笑)」

加藤「そうですね、これはこれでがまた違った良いものになると思えるようになってきました」

じんの「脚本がどんどん書き換えらえていく、っていうやり方にはだいぶ慣れてきた?」

加藤「そうですね、なんか、その人、その人の経験談とか、その人がしてきた事とかも含めて、取り込まれていくじゃないですか。その人のキャラを生かすっていうか。もちろん役はありきなんだけど、その人の個性というか」

じんの「その人の人生を半分お借りしてって感じなんだけどね…」

加藤「その人生とかも、入り混じっている」

じんの「厳密な意味で、私の脚本はそんなふうにやってくれる人に依存しているので、単純に、前回の台本がこれだから、じゃあ、覚えてやりますよ、っていう再演が難しいんですよ。書き換えないと。今回集まってくれた人々で作るもんなんで。だから最初に言ったように、その人が何かを出してきてくれないと、先に進まないっていうか。見えないっていうか。そこで止まっちゃう」

 

(つづく)

その2 (9/18/0752)

 

じんの「加藤さんが取り組んでいる志水部長はやっぱり変わってきていると思う?」

加藤「もう確実に映画で中島ひろ子さんが演じた志水さんとは違うと思います」

じんの「映画とはもう全然違うよね。そもそも前の志水さん造形した時から25年経ってるからね、そこに私の25年があるんだけど(笑)」

加藤「(笑)25年が…」

じんの「書いたキャラクターについての説明の仕方は25年かかってうまくなったって言う(笑)脚本が、役者ににじり寄っていく感じとかがうまくなりましたね。自画自賛ですけど」

加藤「それはとても思います」

じんの「それと、いろんな演技形態が世の中にはあるじゃない『メソッド』って言われてる。それがものすごく多く今回の芝居は活用されているでしょ?」

加藤「ここの場面はこういう演技、この場面はこういう演技って、(笑)なんか、なんか単調じゃないんですよね。なんかうまい言葉はないかな。飽きない舞台! だと思います。いろんなシーンによって、本当に波があって、しかも…波の大きさも違う(笑)」

じんの「そして、加藤さんほぼ出ずっぱり」

加藤「そうですね、ほぼ出てますね」

じんの「一幕は出ずっぱり。二幕は出たり入ったりするけれども、ほぼ出ずっぱり(笑)」

加藤「そこでどんだけ、私が見せれるかって言う。ことですよね」

じんの「初舞台の不安はない?」

加藤「不安はあまりないですね。今は。全体がまだ完成形では無いじゃないですか。それなのに不思議と不安はないです…いけそうな気がします」

じんの「全体の完成か、細部の詰めかっていうのは難しいところなんだよね。稽古の時間っていうか、私に言わせると「みんなが顏を合わせている時間」なんだけど、それはどうしても限られているからね。理想としては、どうやって、みんなが集中しながら気を散らして、その人が、リラックスして良い状態でいられるかっていう事なんだけど」

加藤「なんか、変に力んじゃったはないようにしなきゃなと思うんですけどね」

じんの「それはそうと、ほんとにそれはそう」

加藤「私結構、、普段の生活でミスとかが多いんですけど、たいてい失敗するときは、焦ってる時で、落ち着いて、やれば絶対に大丈夫だと思います」

じんの「この前、制服着てみてどうだったの?」

加藤「いやなんか、なんていうんですかね、私は、やっぱり結構制服を着慣れていたので。高校卒業してからも全然着ていたので」

じんの「あ、そうだよね」

加藤「そうなんですよ。制服というのに、全然抵抗がなくて、ああ、まだいけるなぁみたいな(笑)まだまだいけるなって。感じはありましたけども、そうですね、だからなんか楽しみです。もうなんか、グループ卒業して着ることがないと思っていた制服なんで、こんな早く着ることになろうとは(笑)」

じんの「すごい早かったね」

加藤るみ「すごい早かったです」

じんの「また制服かよって感じでしょ」

かと「(笑)まだ全然いけるなって」

じんの「全然いけるんじゃないの。まぁ撮った場所もね、変なところだったし。1ヵ月ぐらい前からずっといろんな所をロケハンしたけど、最終的にあそこが見つかって良かった。よくあんなところ見つかったなあ、本当に執念のような。そして、よく貸してくださった…」

加藤「あそこでやりたいなと思いました。あそこでやればいいのにというくらいいいところでした」

じんの「できなくもないんだけどね。ただ、グローブ座を模したところなので、緞帳がないんだけど」

加藤「やりたいですね(笑)」

じんの「とりあえず、ザムザの公演を成功させてから考えようね(笑)」

 

(撮影に協力してくださったのは、じんのがこの秋から非常勤講師としてシナリオを教える明星大学のシェイクスピアホールというところです。明星大学 多謝!)

 

その3

じんの「メソッド自体が、すごく演劇的に歌舞いているところと、この前やった進路指導室みたいに、とても映画的な演技に近いものと、同時にやんなきゃいけないじゃない?」

加藤「そうですね」

じんの「映像の演技的なものはどうですか?」

加藤「私は、映画ばかり見てる人間なので、映像的な演技の方が、好きなので、やってて、自然体でいられるっていうのがありますね」

じんの「でもただ自然体っていうわけでもないんだよね」

加藤「そうですね、自然体だけではなくて、いろいろ頭では計算してるんだぞって言う(笑)」

じんの「計算しなければならない事を、何を計算しなければならないかを説明してるんだけど、これがなかなか…だから、説明が長すぎて、ワンシーン全部とかがとてもじゃないけど説明してる時間がないから。場面の3分の1くらいがせいぜい」

加藤「ワンシーンで、1日の稽古終わってしまいますよね」

じんの「いっぱいいっぱいなっちゃうっていうか。でも、楽しいんだけどね、説明して伝わる感じか」

加藤「それが、わかって演技して、褒められた時に、あ! こういうのなんだっていうのが、どんどん自分の中でつかめてくるのが楽しいですね」

じんの「あと、周りもね、今のそれはよかった!って言う顔してるじゃない?」

加藤「そうですね、周りの共演者のみんなも、さっきより全然よかったよっていう顏してるし、そういう言葉とか聞くと、こういう感じなんだって、どんどんどんどん掴めてきます」

じんの「周りにいる人たちがね、興味を持って見てくれないと、現場の空気が悪くなっちゃうから。そうするとどうしようもないんだよね、それがないように飽きないように何とかって。例えばメソッドが違うものを1時間とか1時間半とかで交互にやっていくとか、しているんだけどね。どうしてもやっぱりただ座って人の芝居を見ていると、絶対ダレちゃう」

加藤「そうですね」

じんの「それで、居眠りとかされちゃうと、やっててもね、あーって感じになっちゃうし。集中できないし」

加藤「稽古が、毎回毎回濃いんですよ、私が出てない場面の時でも、すごく、納得できて、吸収できるなって感じることが多くて、すごい勉強になります見てて」

じんの「あと50分やって、絶対10分休むって言うサーキットトレーニングのような形の稽古時間のスケジュールを徹底している(笑)あれは休むべきでしょ?」

加藤「べきです。あれすごいいいと思います。ほんとに、なんか私、結構4時間とかぶっ通しの時とかレッスンとか、稽古だったりするのをやってて、もう集中力が、切れてくるんですよ、休憩とかないと、なんで50分に10分ずつこまめに休憩があるっていうのは、すごいありがたいというか」

じんの「絶対休むようにしてる」

加藤「1回リセットできるっていうか。あと終わったら終わったで、すぐ帰るじゃないですか。それが気持ちいいなって。ダラダラしない時間が、好きです。なんていうんだろ、稽古終わってもまだ、自主練とか、やることあるって事多いじゃないですか」

じんの「外に出て溜まってうだうだ喋ってるのとかね、ほんとにあるんだよね」

加藤「そういうのとかめちゃ嫌で、私は」

じんの「あれなんで話してるんだろうね」

加藤「終わったら終わったできっぱり帰りたい人なんですよ」

じんの「(笑)そうね」

加藤「自分の中で、解決できるものがあれば、自分で解決したい」

じんの「その終わった後にぐずぐずしてるときの時間てねえ、一体これはいつまで続くんだろうと。話の内容よりもそっちにイライラしてきちゃって、そこで話していることとかに全く集中できなくなっちゃうんだよね」

加藤「だから、すぱっと帰れるのが気持ちいいです。この稽古は」

じんの「とっとと始まるっていうのもね」

加藤「とっとと始まって、とっとと終わるって言うのが、この稽古はいいです。10分ずつ休んで(笑)無駄がないっていうか」

じんの「すごい数の演劇作ってきて、たどり着いた方法なんだけどこれも」

加藤「本当に、私、無駄が嫌いで、時間に関しても。だからスケジュールとかも、一日休みがあったら、もうパンパンにしたいんですよほんとに。何時から何時までって区切って、何時から何時までこれって。それをきっちり時間通りにっていうのが、すごく、気持ちいいです」

じんの「飽きないように作るのは、ただ単に私が飽きっぽいだけだからなんだけど、せっかちだし、他にやりたいこといっぱあるから、終わったら、はい、はい、終わりっていうのが良いと思ってます(笑)早く帰って違うことやりたいって言う。最近なんか全然レゴもできないし、スケボーも乗ってないし。最低!って思ったりするし」

加藤「(笑)ギャルみたい」

つづく…

 

 


その4

 

じんの「私もさぁ、日常でもいろいろ段取りつけてやるんだけど、それがうまくいかないときにすごい凹むんだよね」

加藤「そうなんですよ。私もそうなんです。一日なんだかんだ疲れて寝ちゃったりとかしたときに、もう最悪、一日無駄にしたみたいな」

じんの「自分が立てたスケジュールが、自分で完璧にできなかった時に自分を責めたりするんだよね(笑)」

加藤「思います。時間をキチキチ守ってやりたいですね。ダラダラやって、正解が出る時と出ない時ってあるじゃないですか」

じんの「時間いっぱいいっぱいで、説明が3分の1ぐらいしかできていなくても、その3分の1がきちんと伝わっていれば、あとの3分の2は考えてくれると思ってるので、それを、アバウトに全体のことをかいつまんで説明しちゃうと、逆に伝わらないんだよね。どこでわかってもらうかっていうのはすごく考えてる。やり方とか。そればっかりずっと考えてる。それを考えるのが好きっていうのはとてもある。あとあの、喋りすぎないようにしなきゃいけないんで、いろんな例え話とか出しても、それは例え話でしかないし、やってもらうために話したり、あれこれやってるんで、上手いこと言えたところで、あんま意味なかったりするんだよね。(笑)やってもらって、正解が出たときにね、これうちの劇団員に言われたんだけど、その時に、それってすぐ止めないでくださいって(笑)正解が出ても、しばらく見守ってあげてください。て言われて(笑)」

加藤「(笑)…」

じんの「やっている本人もこれなんだなと思っているときは、続けさせないとダメなんですよって。わかりました見守るようにしますって。結局最初に言ったように、経験がない人の方が早いんですよ私を芝居は。余計なことを習ってると、それにとらわれちゃってそれとすり合わせしようとするんで、ものすごく時間がかかる。どうしてもそれでもそこから抜け出せないとかね。あと、同時に映画の演技に講義もしているから、なおさら時間がかかる。でも、他の演劇だとその演技はその演劇にしか使えないけど、その境界線の話をしているから。だってじゃあ、映画の演技はどこで教わるんだっていう。フレームとか、カメラの問題とかね、まだいっぱいあるんだけど」

加藤「そうですね」

じんの「映画の見方とか変わってきた?」

加藤「そうですね、なんかやっぱりカット割りを気にするようになりました。撮られ方も含めて。もともと結構、そういうところに注目はしてたんですけれども、さらに、注意しするようになりました、映画を見る時に」

じんの「映画の見所が増えた感じがしない?」

加藤「見所増えましたね。あとやっぱ、なんていうんですかね、ストーリーだけじゃなくて、その人の、演技。一つ一つ何か巻き戻して見たりとかしてます今は。表情一つ一つとか」

じんの「そういうのって実はすごい計算だったりするじゃない? そうやって見たらほんとにわかるんだけど」

加藤「そうですね」

じんの「このタイミングで動くとこういう風に見えるみたいな。目線こっちやるとこういうニュアンスが伝わるみたいな」

加藤「そうですね」

じんの「自然な動きとか絶対ないよねって言う(笑)」

加藤「なんていうか、計算していいんだっていうのを獲得したのが、最近の私の1番の出来事です。今まではほんとに、やっぱり演技って言うのは、その人の感情ので動くものだっていうのがやっぱりあって、でも、違うんじゃないかって。自分の葛藤とかいろいろあって、計算してるし、みたいな。みんな絶対計算して動いているし、っていうのがあったんで、今回、計算していいんだっていう答えが出たのは大きな収穫でした」

じんの「楽しいもんね、計算するって。そもそも、そこが醍醐味だと思うんだけど、そしたら自分だけじゃなくて、共演している相手とも話し合いが出来るような気がするんだけど、気持ちがどうのとかって話をお互いにしてもね」

加藤「そうですね」

じんの「これからまだ、最大の難問であるプレゼンをどうするかというのが待っていますけども(笑)」

加藤「そうですね。なんかやっぱり良いものにしたいって言う。私、結構負けず嫌いなんで」

じんの「すごいよね、その負けず嫌い振りは、いいと思うんだけどさ(笑)」

加藤「今、新しく書き直したところで、やっぱりいいなって言うプレゼンが出ているじゃないですか『プラダ』とか」

(『プラダを着た悪魔』についての、部員の一人が「これを演劇にしたい、やりたい」というプレゼンのシーンがあります)

じんの「『プラダ』好きなの?」

かと「めっちゃ好きですよ。ちくしょう、いいな、みたいな。なんかそうやって思うと、今、あの中で1番いいのにしたい、みたいな。私が1番良いプレゼンをしたいなって言う(笑)面白いプレゼンをしてやるぞって言うのを考えてるんですけど」

じんの「『プラダ』も、(稽古場で話あって)あそこから、ああなると思わなかったでしょ?」

加藤「思わなかったです。めちゃめちゃ面白い」

じんの「あの瞬間に私が「ああこれ、できた!」って言ってたのは、あの形だったんだけど(笑)」

加藤「めっちゃ面白いです」

じんの「それでも最初に面白いと思って書いてやつっていうのは、ちょっと毒がありすぎたんで、2回目に書き直してまろやかにしてみたんだけどね。やっぱり笑いに包んであげないとね」

加藤「あと『プラダを着た悪魔』って、やっぱり自分が、知ってるものだからこそ余計に、うおおってくるものがありますね。あの映画やっぱりみんな見てると思うんですけど、だから盛り上がるものがあるし、」

じんの「単純に『プラダを着た悪魔』という映画に寄りかかってるわけじゃないでしょ」

加藤「はい」

じんの「彼女たちの話になってるしね」

加藤「はい。『プラダを着た悪魔』っていうのはきっかけをくれているに過ぎないですからね」

じんの「だけど『プラダを着た悪魔』でないとあの話が成立しない、っていうね。非常にクオリティーが高いと思う、あれは」

加藤「そうですね、では面白い」

じんの「あれいいよね」

 

インタビュー第三弾につづく